ライター奥村シンゴの介護、メディア、社会を語る

祖母介護7年目、元放送局通信メディアコールセンター出身の奥村が介護、メディア、社会問題中心に独自取材、考察。

介護

大坂なおみから学んだ介護で活かせること

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大坂なおみが昨年9月の『全米オープン』に続いて『全豪オープン』に優勝し4大会連続優勝を飾った。

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大坂なおみ全豪オープン優勝トロフィー贈呈 ハフィトンポストより

グランドスラム初優勝からの連覇は史上6人目18年ぶりの快挙、世界ランキング1位になることが確定。

30歳すぎから祖母の在宅介護を6年間経験(昨年11月末施設)した者として、強靭なメンタル力や相手をたたえることを忘れない大坂の姿は多くの介護者にいかせる部分があると感じた。

「マイペースで尋常じゃないメンタル力」

 尋常じゃないメンタルの持ち主だと感じさせるシーンがあった。

昨日の決勝戦、第1セットをタイブレークで奪い、第2セットを5-3とチャンピオンシップを握りながら対戦相手のクビトバに逆転されたが、第3セットを6-4で取り返した。

普通なら逆転されるとそのままズルズルと相手のペースにもっていかれてもおかしくない。

メンタルが弱いと言われていた大坂を変えたのはサーシャ・バインコーチの存在が大きく、とにかくポジティブな言葉をかけ続けたという。

また、昨年のパリバ・オープンで優勝した直後、大坂は「ハロー、私はナオミです。OK、気にしないで」と自己紹介からはじまり、何か忘れてないかしら…私は何かを忘れてないかしら」と自問自答。

「あっ、スポンサーに感謝しないと」とスポンサー名を何社も読み上げ、「史上最悪のスピーチかも」と言い、会場は爆笑に包まれた。

これまでの結果や試合直後にこれだけマイペースにインタビューをうけたり、スピーチできるのは並のメンタルではできない。

全豪オープン』の決勝進出を決めた際のインタビュアーと大坂のやり取りが象徴的。

インタビュアー「散歩したりする?」

大坂「寝ます(笑)。その後で散歩するかもしれないけど、多分しないかな」

インタビュアー「なおみ、散歩は仕事と同じだよ」

大坂「うん、でも・・・」

介護の場面でメンタル力やマイペースさが必要な場合が多々ある。

認知症が進行してくると、トイレの場所や仕方を忘れる場合が大半で多い日は1日10回以上介助をすることになる。

介護者は夜間から早朝にかけて度々起こされ、睡眠時間の確保が難しい上に介護される方はやり方がわからなかったり不安や混乱からイライラしている場合がある。

このような場合、注意しながら介助する人とそうでない人と分かれるが、後者の方が望ましいと考える。

なぜなら、注意しても理解できないし、不安や混乱が増し怒り出したり泣き出すだけ。

祖母の場合、トイレで便器の向きを間違えて尿をすると「あらま、やってもうたかハハハ、大丈夫やがな」と極力笑いながら焦らずペースに合わせてゆっくり対応。

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服の着方がわからずそのままトイレに入ることも・・・

両親を10年間病院勤務しながら在宅介護をしていた彼女は「あんたのマイペースなところがばあちゃんを落ち着かせてるんだと思うよ」と言われた。

この対応は在宅介護でマンツーマンの環境下なら可能だろうが、介護施設では難しい。

夜間2人の介護職員に対して20人以上の利用者をみていることも少なくないので。

「相手をたたえることを忘れない」

大坂は相手を称えることを忘れない。

昨年の『全米オープン』でテニス界の女王であるセリーナ・ウィリアムズを2-0でストレート勝利し、日本人初優勝をはたした。

だが、会場はセリーナ・ウィリアムズを応援するファンが圧倒的に多く表彰式でブーイングの嵐・・・。

そんな中、大坂は「皆がセリーナを応援していたのを知っているから、こんな終わり方になってごめんなさい、ただ伝えたいのは試合をみてくれてありがとう。セリーナと決勝で試合することを夢見ていて夢が叶ってうれしい」と答えた。

このスピーチでブーイングだった会場が絶賛の嵐になり、涙を流す人までいた。

 昨日の『全豪オープン』決勝戦で優勝直後、大坂は対戦相手のクビトバに

「本当におめでとうございます。これがあなたとの初対戦になってほしくなかったのですが、あなたとあなたのチームにおめでとうといいたい」

とコメントしている。

大坂はブーイングをうけた相手であろうと決勝戦で戦う相手であろうとリスペクトする心を忘れない。

 介護を続けていると「どうして俺(私)の思いが伝わってくれないんだ」とイライラすることも少なくない。

 認知症が進行してくると財布を外に置き忘れたり、多額のお金を1日で使いこんでしまったり、勧誘に騙されたりとお金の管理が難しくなってくる。

私の祖母は洋服が大好きで1日50万近くを使いこんでしまい、私が金策に走ることもあった。

このようなことがあると家族が金銭管理せざるおえなくなる。

しかし、「なんで私のお金を盗られないといけないの?」、「警察に電話するわよ」、「通帳や印鑑を返して」などと平然と言ってくる。

本人はおかしな行為をしていると思っていない。

だから、いきなり財布や通帳を奪いあげたり怒ったりするのではなく、10万円入っていた財布を5万円にしてみたり、子供用に売っている札束を入れたり、ゲームセンターのコインを入れてみるのもいいだろう。

 通帳やキャッシングカードについては、昔の本人名義のものと変えてみたり、家族の口座と変えてみたり。

私は祖母に子供用の札束を入れ、昔の本人名義口座とよく入れ替えつつその間に「ばあちゃん、年齢いくとな誰でもお金の管理って難しくなるねん。せやから家族に預ける人がほとんどやねんで」と説得を続けた。

1年半ぐらいは「あんた私のお金を勝手に使って泥棒や」と祖母に言われ、ついカッとなり「ほんなら勝手にせえや」と言い合いになることがしばしばあった。

自分よがりになり祖母の気持ちに立てていなかったと反省するもまた同じ言い合い。

それでも説得を続け2年ぐらい経過したある日、「あんたに預けるわな。誰にも言わんとってや」と言ってくれた。


大阪地震後の認知症祖母

 

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祖母に1000円を渡したシーン

大量のブーイングを浴びせられながらも「試合をみてくれてありがとう、戦えてうれしい」と対戦相手や観客に向かって相手をたたえあうことの大切さ。

そして、世界大会の緊迫感が溢れプレッシャーの中、マイペースに語れ戦える強さ。

21歳という若き天才テニスプレーヤーから学ばせてもらうことは今後もたくさんありそうだ。

彼女の活躍にますます目が離せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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