介護者体験談 祖母が誤診で右足切断、医療療養型病院の選び方 日総研認知症ケア連載10回目掲載

ケアラー関連

介護作家・ヤングケアラー・若者ケアラー・就職氷河期ケアラーサポートコミュニティー「よしてよせての会」代表・メディア評論家などで活動中の奥村シンゴです。

筆者は、30歳過ぎからガンや精神疾患の母親と認知症の祖母をほぼ1人でみて9年目になります。最近、テレビ・新聞などでよく報道されるようになった「ヤング(筆者の場合ミドル)ケアラー」の一人です。

昨年から世界中で流行している新型コロナウイルス感染症に対して、ワクチン接種が普及し2回目を終えた比率は全人口の74.7%に達しました。(11/14現在)

高齢者施設・病院職員の中で、普段の業務やコロナ感染対策にワクチン接種が加わり、1ヶ月ほぼ休みなしで働いておられる方々もいらっしゃいました。おかげで、コロナの感染者数が激減し、オンライン面会から対面面会へ切り替えるところが増えてきました。母親が入院中の一般病院も先日、対面面会再開の知らせがきました。患者の「命」や「健康」を守るため、日々ご尽力いただいている医療・介護従事者のおかげです、本当にありがとうございます。

さて、祖母は、認知症が進行し、2019年1月に精神科病院へ入院後、2020年11月、医療療養型病院へ転院しました。その直後、急病で急性期病院へ転院し、生命の危機でした。なんと誤診だったのです・・・。正直に言って、筆者は、祖母が医療療養型病院に対して、入院時から抱いた違和感がいくつもあり、不安が的中してしまいました。

そこで、今回は、「利用者家族視点から考える医療療養型病院の疑問と理想像」について書かせていただきましたので、参考にしていただけると幸いです。

日総研認知症ケア連載10回目掲載
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「医療療養型病院へ抱いた5つの嫌な予感的中し祖母が生命の危機」

祖母が転院した療養病院は、転院時から①~⑤の違和感があり不安でしたが、入院していた4か月間のエピソードと合わせて振り返ると嫌な予感が的中しました。

  1. 主治医が65歳以上の高齢

裏返せば治療や診断実績が豊富なお医者さんともいえますので、信頼していました。祖母は、急性期病院へ搬送される1ヶ月前から38度を超える高熱を時々発症し、点滴で処置の上、「関節炎」と診断されていました。

ところが、急性期病院で診断されたのは、皮膚や筋肉に細菌が感染し、通称人食いバクテリアと呼ばれ致死率の高い「壊死性軟部組織感染症」と重篤な状態。誤診だったのです。急性期病院の主治医は触診した瞬間「皮膚の内側じゃない外側だ、壊死性感染症だ、緊急オペ」と判断がついていました。急性期病院で4カ月ぶりに出会った祖母が酸素マスク、輸血、昇圧剤治療、右足壊死部分の切断と変わり果てた痛々しい姿に筆者は「もう少し早く病気を発見してくれていれば」と悔し涙がいっぱい出ました。

急性期病院の主治医も「紹介状の診断名と全然違ってビックリしましたが、医療療養型病院の環境上、発見が少し遅れたのかもしれませんね」と仰っていました。

  1.  2つの霊安室が受付のすぐそばにある

今まで母親や祖母の件で数々の病院をみてきましたが、初めて見ました。③の外来診療を受け付けていないのとリンクするかもしれませんが、会社面接をスーツで行かないようなものです。普段、外来新規患者が来院せず刺激が少ないのでしょう。

知人の医療従事者でさえ、「初見だわ。多分、大きい病院で毎日のようにお亡くなりになる方がいらっしゃるんだろうね、それにしてもちょっとね」と首を傾げていました。

  1. 外来診療を受け付けていない

療養病院は、総合病院内にあるケースが多いと知人の医療・介護従事者から聞いていましたので、少しビックリしました。

  1. 食事のメニューを見せてくれない

筆者は、何度かお願いしましたが、医事課の担当者によれば「食事のメニューは当院ではお見せできない規定になっております」の一点張り。療養病院は、要介護が高い患者を極力経口摂取するようにリハビリをするのも目的の一つに挙げられているはずです。

  1.     症状の経過報告は特にしないと言われた は、新型コロナウイルス感染症第三波・第四波が流行っている最中でしたので、病棟の感染対策に時間を割かれますし、面会ができないのも理解しています。しかし、同程度の療養病院で利用者家族に連絡をする・しない、リモート面会可能、不可能と対応が分かれています。本誌2021年春号にも記載しましたが、面会し顔を見て話したり、症状経過連絡報告があると安心感がグンと増します。ぜひ前向きにご検討いただきたい項目です。

「祖母の在宅介護を希望するものの主治医からNG」

祖母は、急性期病院の主治医や看護師の迅速な診断と治療で奇跡的に一命をとりとめました。

壊死性軟部組織感染症は、足を切断し抗菌薬を服用すれば完治が期待できますが、高齢者の場合、簡単にいきません。

というのも、高齢者は、足を完全切断し全身麻酔で手術をすれば傷の部分から大出血し死に至るリスクが高くなりますので、部分的な処置のみが可能になります。

祖母は、幸いにも順調に病状が回復し、全身点滴・酸素マスク・昇圧剤・輸血治療が順次とれていきました。

祖母の主治医は、筆者に「当初の見立てでは、1週間が山。それを超えても2か月が生命の限度と予想していましたが半年から一年単位で回復が見込める可能性が出てきました。

ただ、高齢で寝たきり全介助状態の方ですので、急変の可能性がいつでもありえます」と告げました。

読者の中に、「90歳近い高齢者で、右足を半分切断しこれ以上延命治療するのはご本人がお気の毒」と感じられる方々もいらっしゃるでしょう。

祖母は、認知症が進行していない頃、筆者に「私が死にそうになった時、無理に行かそうとしなくていいからね。さっさとあの世にいかせて」と笑いながら時々話していました。

ですので、筆者は、祖母が食べられなくなったら延命治療をせずに自然な形でその時をむかえてほしいと思いました。

しかし、精神科病院から医療療養型病院に入院後すぐ祖母が食べれなくなったと連絡が入り、延命治療の有無を聞かれました。

筆者は、「ばあちゃんの意思に反するやろうけど、死んでほしくないんや」と経鼻経管栄養をするにサインをしてしまいました。

筆者が祖母に「一日でも長く生きてほしい」と願うのは単なるエゴなのかもしれませんが、こういう想いの家族がいるのをご理解いただけると幸いです。

祖母の病院選びについて、急性期病院の治療を終え転院が必要になりましたが、元の療養病院へ戻るか、新たな療養病院を探すか、在宅介護の三択でした。

筆者は、祖母の病気の発見が遅れた療養病院へ戻すのが気に乗らず、主治医に「祖母を家でみたいと思っていますが、可能でしょうか?」と聞きました。

祖母の主治医は、「お一人で介護されるのは、かなり困難です。2時間から3時間に1回体位変換をしますが、体重も45キロあり看護師2人がかりです。しかも、傷が侵入すると再発リスクが上昇します。そして、2時間に1回患部にクリームを塗ったり、経鼻経管栄養、たんの吸引といった細かなケアが必要になります。さらに言えば、コロナ禍で在宅介護時に急変しても対応が難しいのが現状です」と答えました。

主治医からの回答をうけ、筆者は断腸の思いで在宅介護をあきらめましたが、「祖母に少しでも穏やかで痛みが少ない日々を過ごしてもらうには、どうしてあげたらいいんや」と葛藤が続いています。

経鼻経管栄養中の祖母が笑った瞬間
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「家族に選択肢がほぼない転院先選び」

祖母は、要介護5で全介助・高度な医療行為が必要な患者の転院先は、元の療養病院に戻るか、新しい療養病院に行くか、在宅介護かの三択です。

筆者は、新しい療養病院を探しはじめたものの、急性期病院の退院支援室の担当者が、とにかく早く祖母を退院させようとする一心で親身に相談にのってくれませんでした。
続きは、https://www.nissoken.com/jyohoshi/bk/contents/59.html からお求めください。


また、2020年12月に『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』(株式会社法研)という書籍を出版しました。今号のように「利用者家族の視点からみた理想の病院像」や「病院でのハプニング」をはじめ、新型コロナウイルス感染症対策をまとめた実用書です。今、注目されているヤングケアラーなど若者介護の問題点や支援法を当事者視点で書いています。読売新聞・朝日新聞・共同通信など多数のメディアで紹介され、ジュンク堂ランキングで1位を獲得しました。長尾クリニック院長の長尾和宏先生や「ヤングケアラー」研究第一人者の澁谷成蹊大学文学部現代社会学科准教授などからご推薦いただきました。この機会にぜひご一読いただき、ご感想をいただければ幸いです。

著書『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』(2021年11月、ジュンク堂書店にて)

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