ライター奥村シンゴの介護、メディア、社会を語る

祖母介護7年目、元放送局通信メディアコールセンター出身の奥村が介護、メディア、社会問題中心に独自取材、考察。

介護

今日は世界アルツハイマーデー、認知症介護でお願いしたい3つのことを30代孫介護経験者が語る

投稿日:2019年9月21日 更新日:

今日、9月21日は国際アルツハイマー病協会(ADI)と世界保健機関(WHO)が共同で「世界アルツハイマーデー」、9月全体を「世界アルツハイマー月間」と制定しています。

全国各地で認知症への正しい理解や当事者や家族への支援を考える契機にしてもらおうと医療・福祉・行政・NPOなどが認知症の啓蒙イベント、街頭活動、講演会がじ実施されています。

21日夜、兵庫県姫路市の国宝世界遺産の「姫路城」、京都府京都市の「京都タワー」、大阪府吹田市の「太陽の塔」などが認知症啓発のオレンジにライトアップ。

同じく21日、京セラドーム大阪で開催されたオリックスーロッテ戦で来場者全員にオレンジフラッグがプレゼントされました。

厚生労働省の推計によると、2012年現在認知症患者数は462万人、2025年には約700万人、全人口の20%に達する見込みです。

病院の受診を拒む人や軽度認知障害の人は除かれるので、実際の患者数はもっと多いでしょう。

筆者は30歳過ぎから昨年11月末まで6年間ほぼ1人で祖母の在宅介護を経験しました。

現在は精神病院に入院中の祖母の元へ週1回程度ですが、面会へ行っています。

なぜ30歳過ぎの男性しかも孫が介護と思われるかもしれませんが、母親が大病を繰り返したり、母親と祖母が不仲だったり、金銭的に施設へ預ける余裕がなかったりと様々な事情が重なりました。

ですが、母親のように育ててくれた祖母と1日でも長く在宅で過ごしたかったのです。

そこで、祖母との介護を通じてこの機会に認知症の介護を頑張る周囲の介護者へお願いしたいことが3つあります。

「重度認知症でも会話や意思疎通できる」

「面会へ行ってもね、背がないでしょ?話が全然通じないし、元気な頃は怒ってきたり、最近は食欲も落ちて体重が20キロ代に。今年の春亡くなりました」先日、筆者の自宅近所の人がポツリと一言。

お母さんを3年間在宅介護し、2年前に施設へ入所したものの、今春「老衰」で息を引き取ったそうです。

認知症には軽度、中等度、重度に分類され、軽度~中等度は言ったことを忘れたり、財布や通帳のか管理ができなくなり、中等度は着衣着脱、料理の仕方、排便・排尿の仕方、徘徊するようになります。そして、重度は家族や親戚の顔や家の場所やトイレがわからなくなったり、会話もほぼ通じなくなり、車椅子生活になるなど身体機能の低下などの症状が出ます。

重要度軽度~中等度中等度重度
症状・物忘れ(言ったことがわからないなど) 
・片づけが下手に  
・料理の味付け変化など  
・料理ができなくなる
・服が着れない    
・掃除掃除ができない
・道に迷うなど
・身体機能低下    
・家族がわからない 
・家の場所やトイレがわからないなど  

引用 不幸な認知症 幸せな認知症

祖母は8ヶ月前、認知症が進行し精神病院へ入院し主治医から「重度認知症です。残り長くても数か月でしょう。1日でも長く生きてもらえるよう手は尽くしますが、覚悟はしておいてください」と告げられました。

それ以降、筆者が週1回面会へ行き祖母に色々な話をふるのですが、通じる時があります。

先日、祖母に「ばあちゃん(祖母)、今日な敬老の日やからプレゼント買ってきたで」とパジャマ、靴下、タオルをプレゼントしました。

すると、祖母は「あんた(私)、私をばばあと思って何歳だと思ってるのよ」と笑いながらつっこんできました。

ビックリしました。

もう筆者を覚えていないのがほとんどで名前を聞いてもわからないですし、今一番何が食べたいと聞いても「チョロリン、チョロリン」とよくわからない歌を歌い出したりと会話が成立しないのですから・・・。

ですので、重度認知症でもあきらめず面会へ行き続けてほしいと思います。

「第三者の対応が、徘徊する本人とその家族をも救いうる」

認知症が中等度程度になると、「徘徊」症状が現れ身内は精神的に大きな負担を強いられます。

平成29年の日本経済新聞社調べによれば、認知症が原因で2016年に全国の警察に届け出があった行方不明者は1万5432人にのぼり4年連続で増加し最多記録を更新し続けています。 

祖母も在宅介護4年目位から「徘徊」症状が現れました。

突然朝方に玄関のドアノブをガチャガチャガチャする音が聞こえたので、見にいくと祖母が物凄い鬼の形相で「これなんで開かないの?外に出たいの」と出かけようとしています。

「ばあちゃん、今日施設行くのはお休みだから家でゆっくりしてよ。後で散歩に一緒に行こうね」と私が言うのにも聞く耳を全くもちません。

 徘徊を止めることは不可能だと思い、祖母と一緒に外に行くことにしました。

 祖母は140センチ少しに64キロあり、足はむくみがひどく、かろうじて片杖でゆっくり歩行できる程度。

 しかし、この時は普段の歩行速度からすると信じられないぐらい速いスピードで歩き始めました。

 祖母に「ばあちゃん、どこに行きたいの?」と聞くと、「あそこの角を右に曲がれば、お兄さんやお姉さん達がいっぱいいるところに行くんだよ」と言います。

祖母は電話局の看板をみつけ「私がね、昔働いていたところだからちょっと行ってみようかいな」と言い出しました。

 私は中に入り、電話局の職員に「祖母が徘徊で来てしまいまして」と事情を説明。職員の方が「ゆっくりしていってくださいね」と笑顔で親切に対応してくださりました。

祖母は満足そうな表情で「私ね、昔ここで働いていたのよ、窓口でいろいろなお客さんがいてね」と答えました。

「このタイミングだ」と思った私は、「じゃあ、ばあちゃん家に帰ろうか」と言うと納得したので、タクシーを呼んで自宅まで連れて帰りました。

 徘徊は、自宅からあまり離れていない、昔からの馴染みのあるスポットを目指すことが多いのかもしれません。

徘徊する祖母に私が余計な口を挟まず、ひたすら付いて歩いたことで、祖母の徘徊には、祖母なりの理由があることがわかりました。

 頭ごなしに、「ダメ、ダメ」と否定するのではなく、気持ちを理解することの大切さをしみじみ感じたと同時に電話局の職員さんが我々に優しく寄り添ってくれたのも祖母の感情を穏やかにするポイントとなりました。

その他、筆者が外で洗濯物をとりこんでいる間に祖母が突然自宅を飛び出し、数キロ先で偶然見知らぬ人が声をかけてくれ、警察へ連れて行ってもらい見つかったここともあります。

 鈴木隆雄桜美林大学老年学総合研究所(大学院教授)の 認知症高齢者の徘徊・行方不明・死亡に関する研究によれば、徘徊高齢者の発見までにかかった時間で、最も多かっ たのは「3-6時間未満」(約25%)。

次いで、「6-9時 間未満」(約15%)でした。発見までにかかった時間の 累積で見てみますと「9時間未満」でおよそ半数の方が 発見されていました。  また年齢が若いほど発見までに時間は長い傾向が見られました。行方不明から9時間以上を経過すると、発見率は徐々に下がっていきます。

ですので、介護者は徘徊を一旦止めてそれでも無理なら一緒に寄り添い付き添いまましょう。第3者の方はお手数ですが、1人のお年寄りが泣いて歩いていたり片杖で一緒に歩いていたり不自然な場合、警察へ一報、家族と同席の場合は優しく声をかけていただけると幸いです。

「夜間から早朝介護は一人でも協力を」

先日、アゴラさんに寄稿しましたが http://agora-web.jp/archives/2041543.html )6年間の介護経験で一番大変だったのが夜間から早朝の介護でした。

 例えば、「尿もれシート」をしていても尿もれになる時はなりますし、シーツ、掛け布団、洋服、オムツ・パッドを交換したり、トイレができたかの確認や、身体を拭く手伝いをしたりなど複数をこなさいといけません。

また、祖母の体重増加で以前より足腰に負担がかかり歩きづらくなり、血行不良により足の痛みをよく訴えるようになりました。

 要介護度が上がり、ショートステイの利用が月2回程度から毎週に増え運動不足になったことも原因として考えられます。月に1度内科を定期受診し先日血液検査をしましたが、「コレステロールや中性脂肪は基準値よりやや高いものの服薬するほどではないが、もう少し体重が増えると考えないといけないので、家庭でも注意してください」と主治医に言われました。

祖母は夕食を19時ぐらいに済ませるのですが、早朝になるとお腹が空き、冷蔵庫の中のモノを探る音で目覚めることが多くなりました。

菓子パン、ご飯、果物、野菜ジュースすべてを一晩で飲食しているときもありました。

そこで、祖母が手にとれないよう冷蔵庫の一番上に食べ物や飲み物を置いたり、ご飯は炊飯器で炊かず、極力コンビニのパックのご飯を買ったりしました。

すると、今度は「シンゴ、何か食べ物ないんかいな」と筆者の部屋に来て、イライラ気味の祖母・・・。

このように夜中から朝方は目が離せず、手がかかり寝る暇がほぼなく過ごしていましたので、一人でも協力者が欲しかったのです。

もちろん、ケアマネジャーに相談したり、ショートステイやお泊りデイサービスなど介護施設を有効活用していただきたいですが、費用がかかりますし予約もなかなかとれなかったりします。

ケアマネジメントオンラインがケアマネジャーに「追い詰められた介護者を支援するために特に必要だと考えることは?」と聞いたところ1位が「夜間や緊急時に対応できるサービスの充実」で68.2%でした。

次いで、「在宅介護者の経済的支援」(62.3%)、「介護者を支援するための新たな整備や態勢作り」(55.2%)となっています。

ケアマネジャーの対応ができなかった理由
引用 ケアマネジメントオンライン、みんなの介護
https://www.caremanagement.jp/?action_enq_user=true&page=cmnr160301#g08
https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no240/

ですので、週1回、月1回でもいいので協力できる人はしてあげて下さい。

 「世界アルツハイマーデー」の今日はお休みの人も多いでしょうから、ご家族で認知症の話をしたり、介護をお任せしている人の事を少しでも考える機会になればと思い記事を書きました。是非できることから一歩ずつ理解、協力してみましょう!!!

認知症祖母、抹茶プリンに予想外の反応 笑 高いいね、チャンネル登録大歓迎

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