イチロー選手の引退会見をみていて、認知症の祖母を在宅介護していた者として印象に残ったコメントがありました。
ある記者が「以前孤独と戦いながらプレーしていると言っていましたが今は同じ孤独か?違った孤独か?」と質問。
イチロー選手は「現在孤独感は全くないです。アメリカで外国人になり人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までないことが現れた、本を読んだり、情報を取ることはできたとしても、体験しないと自分の中からは生まれない。孤独で苦しんだことは多々ありましたが、その体験は未来の自分に大きな支えになると今は思います」と答えました。
イチロー選手のこのコメントは多くの在宅介護者にとって励まされ勇気づけられたのではないでしょうか。
Contents
「友達が減る、泥棒扱い・・・日々孤独との戦いで1円にもならない、借金も」
リピーターの読者の方々には繰り返しの話で申し訳ないのですが、私は祖母の在宅介護を30歳過ぎから6年間週4回経験。
祖母の兄弟が死去や疎遠、母親の大病、私の兄弟は結婚、家庭もちと事情が重なりました。
何より母親のように育ててくれた祖母に少しでも恩返しできればと思ったのが一番のきっかけ。
6年間の在宅介護を振り返ると、日々孤独との戦いでした。
私と同じ年代やさらに若い世代が在宅介護をすると尚更でしょう。
参照
https://kaigo.news-postseven.com/14071
多くの同世代の人たちが仕事中の時間にオムツやパッドを買いに行き、近所から「今日仕事お休みですか?」と言われ、返答に四苦八苦。
あるいは、友達から「今度飲み会があるんだけど参加できる日を○○日までに教えて」と聞かれ、答えようがなく呼ばれる回数が減り、友達が減ります。
ショートステイなどに預け「さあ、休めるぞ」と思えば、風邪を引くなど急に連絡が入って、本人が戻ってきて在宅介護へ逆戻り。
昼間は同じことを何十回と聞かれ相手したり、財布や通帳を置き忘れお金を多額に使うので本人に代わり管理していると泥棒扱いされることも。
本人が寝たと思うと2時間に1回、多い時は1時間に1回トイレで起こされ、排泄処理をしたり、早朝から「お腹がすいた、何か食べさせて」とリクエスト。
一段落したと思ったら「ちょっと出かけたいところがあるの」と一人で家を飛び出してしまったり。
週1回や月数回休息できる日があったとしても、遊ぶ気力すらわかないのが現実。
チコちゃんに「ぼーっと生きてんじゃねえーよ」と怒られそうですが。
こうして孤立した上に1円ももうからない、借金までする可能性がある若年・中年層の在宅介護。
「今日仕事と聞かない、急に予定空いても嫌がらない人になれる」
でも、若年・中年層が在宅介護することはけっしてマイナス面だけではないと思います。
普通のサラリーマンやOLで過ごしていないからこそ平日の昼間にオムツやパッドを買って歩いてる人に「今日仕事?」って聞くことはないでしょう。
介護している友達が「急に悪いけど、今日一緒に飲まない?」と誘ってきても嫌な気分をせず「かんぱーーい」と言える人になれます。
お金を管理できないから預かっているのに泥棒扱いされ警察に通報されたとしましょう。
「少し前までできたことができないって自分なら辛い」って思えるようになります。
急に家を飛び出しても「一緒について行ってみよう。どんな展開になるのか少しワクワク」と期待をもてるようになったり。
多分イチロー選手のような本や情報ではつかめない人の心を慮ったり、人の痛みを想像できる人に少しでも近づけます。
「在宅介護経験が活かされる場面」
そして、在宅介護の体験が活かされることが必ずあります。
私事で恐縮ですが現在、若年・中年層の在宅介護中、今後介護する人たちへ役立てばと思いフリーライターで活動中。
フリーライターとしてまだまだですが、デイリースポーツさんへ定期的に記事を書かせてもらっています。
昔から介護雑誌で有名な某社への連載(初回発売時に公表)も決まりました。
参照 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190313-00000075-dal-hlth
今後は在宅介護の本を出版、コンサル的な仕事など幅を広げていきたいと思います。
私以外にも在宅介護の体験を活かし、特養で働いている人、介護の機械を扱う会社の営業マン。
あるいは、本を出版し講演やメディア出演している人など活躍している人たちはいます。
以上がイチロー選手のコメントをみて若年・中年の在宅介護者は励まされ勇気づけられたのではと感じた理由です。
最後にイチロー選手現役生活お疲れ様でした。
阪神大震災の被災者の一人でもある私にとって忘れられない出来事が。
オリックスが2度目の優勝は地元神戸でイチロー選手のレフト線へライナーでサヨナラヒットで決まりました。
多くの人たちが涙したシーンをいまだに覚えています。
沢山の感動と興奮をありがとうございました。
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