ライター奥村シンゴの介護、メディア、社会を語る

祖母介護7年目、元放送局通信メディアコールセンター出身の奥村が介護、メディア、社会問題中心に独自取材、考察。

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祖母の認知症進行が私に二度と戦争を起こすなと訴えた話

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8月は6日が広島原爆の日、9日が長崎原爆の日、15日が終戦記念日と戦争について改めて考える機会が多い。

私は昨年11月末まで一人暮らしをしていた数年間を除き、祖母と同居。

一人暮らしからほぼ同居するきっかけになったのが母親が脳梗塞で倒れ、祖母が直前に認知症を患い誰かが介護をする必要があった。

祖母は50年程前に離婚、3人兄弟だが2人は死亡、1人疎遠と誰も看る人がいない。

かといって、祖母が要介護1だったので施設を申し込んでも空き待ちで時間がかかる。

何より私にとって母親のような存在の祖母を施設に預けず在宅で看てあげたかった。

結局、30歳過ぎから6年間ほぼ1人で祖母を在宅介護。

そんな祖母の昔からの口癖の一つが「あんた、見えないようにきっちりカーテンを閉めてね」だった。

ある日、祖母に理由を聞くと実は大東亜戦争と深く関係した口癖で、認知症の進行とともになんとも残酷な祖母の姿をみることになるのだ。

「祖母の口癖は大東亜戦争と深い関係が」

祖母は必ず毎日夕方になると口癖を言い出し、夜になるとより注意深くなる。

夜に少しでもカーテンの隙間が空いていると「あんた、そこのカーテン空いてるでしょ?ちゃんと閉めてちょうだい」と怒り気味に言う。

前から気になっていたが、あえて聞いてみたいほどでもなくなんとなく時間が経過していた。

祖母の認知症が段々進行しお金、財布、通帳の管理が難しくなったり、喫茶店へ一人で行くものの家の場所がわからなくなったり、鏡をみながら「そこにいる人は誰かいな」と頻繁に言うようになったり・・・。

それでも口癖は忘れないので、祖母に「ばあちゃん、なんで毎日のようにカーテン閉めて、閉めてって言うの?」と率直に聞いてみた。

すると、祖母は「大東亜戦争の時にお母さんがね今日は空襲がくるぞー、くるぞー、カーテンを閉めなさーいと言われたの」と答えた。

後に調べると、灯火管制といって敵の夜間空襲や夜間砲撃目的にならないようローソク、電灯など照明が制限された。

映画『この世界の片隅で』で灯火管制のシーンが流れるのでご存じの方も多いだろう。

一般家庭では黒いカーテンをひいたり、防空用の電灯カバーをかぶせ街中は真っ暗だったそうだ。

祖母はその時85歳で要介護2。10代の頃、大東亜戦争が終戦するまで富山に疎開していたので、習慣になっていたのだろう。

「祖母が認知症進行しても覚えていた戦争の残酷な記憶」

それから約2年位経過したある日、私は祖母と一緒にご飯を食べているとテレビで大東亜戦争の特集番組を放送。

私が「大東亜戦争の頃疎開して大変やったんやな」と話をふると、祖母は「戦争?疎開?」と答えられなかった。

私は再度「ばあちゃん、戦争で疎開してたんやろ?」と聞くと、祖母は「あらま、そう?」と・・・。

この頃、要介護4に上がり徘徊、異食、トイレの便器と逆向きに尿や便をする、私の事がわからなくなる、食べたことを忘れるなど認知症が進行してしまっていた。

あれだけ戦争の事を毎日のように話していた祖母が、信じられない、ショック・・・。

ところが、祖母は「あんた、カーテンきっちり閉めて」の口癖を忘れなかった。

祖母に私が「なんで、カーテン閉めるの?」と聞いても、「いいから、早く閉めて」と思い出せない。

認知症の人は最近の記憶を忘れ、昔の記憶は思い出す特徴がある。

祖母は戦争や疎開の記憶は忘れ、カーテンの事だけを覚えていた。

灯火管制で街中が暗闇に包まれ空襲に怯える日々だったことが頭の片隅に残っていて戦争や記憶の残酷さを物語る。

まるで祖母が「戦争は二度と起こしてはいけない」と訴えているようにも思えた。祖母のように戦争では幸いにも人的被害には合わなかったが、記憶の部分では今でも被害者の人たちが少なくないのではないだろうか。

このような被害者を二度と出さないために日本の平和と安全が不可欠だ。

面会先より生配信

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