ヤングケアラー・ケアラー支援は年齢よりケアレベルと孫介護9年目が提案する理由

ケアラー関連

最近、家族の介護や世話を担う18歳未満の子ども「ヤングケアラー」の支援や課題がクローズアップされ、テレビ・新聞など多くのメディアが取り上げるようになった。

厚生労働省の「ヤングケアラーの実態に関する調査ポイント」によれば、世話をしている家族がいるが中学2年生で5.7%、全日制高校2年生で4.1%。世話をしているためにやりたいけれどできないことは、中学2年生、全日制高校2年生いずれも「自分の時間が取れない」が一番多く、「宿題をする時間や勉強をする時間がない」と続く。

筆者は、ケアラーの支援活動・講演・取材でヤングケアラーと話す機会がある。あるヤングケアラーは、「高校生から母親を1人で介護しています。でも、学校ではみんなと変わらず元気に過ごしています。先生も気がついていません。久しい友達だけに自分が介護者だと教えて、お金を遣えないけどごめんと言いながら遊んでいます」と打ち明けてくれた。家族のケアをしている子どもの支援は急務だ。

他方、18歳以上30代くらいまでの「若者ケアラー」やそれ以上の年代である「ケアラー」へのサポートが不十分なのも事実。かといって、マンパワーや予算が限られた中で、ケアラー全員をサポートするのは、現実的に難しい。

そこで、筆者は、ヤングケアラーからケアラーまで全世代型の重点的な支援が必要と考える。

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「ヤングケアラーとケアラーの共通課題」

国の実態調査では、中学生は17人に1人、高校生が24人に1人ヤングケアラーの存在がわかった。この計算でいくと、あくまで推定値だが、全中学生が321万1000人のうち182970人、高校生は309万2064人のうち12万6千774人になる。けっして少なくない数字だ。前述した通り、「時間」と「勉強時間」の確保に悩んでいるヤングケアラーが多い。なので、例えばショートステイサービスの割引や補助、介護保険外の夜間から早朝レスパイトサービス拡充、教員や塾講師による補講授業が挙げられるだろう。

他方、18歳以上30歳ぐらいの「若者ケアラー」や「ケアラー」にも支援が必要だ。なぜなら、総務省の調査では、「若者ケアラー」は、15歳以上~30歳未満で33万人、30代で33万人の合わせて66万人いる。平成29年総務省就業基本調査で「ケアラー」は、40歳~49歳で89万5000人、50~59歳で188万人、60~69歳で97万8千人と50代を中心に60代、40代と万遍なく存在する。

坂井えつ子の市議会ホーコク 、総務省就業構造基本調査より抜粋

「ケアラー」の悩みやストレスの原因をみると、男性は「自分の病気・介護」33%、「収入・家計・借金等」23.9%、「自分の仕事」18.9%と「お金」と「仕事」に関する悩みが上位。女性は「自分の病気や介護」27.1%、「家族との人間関係」22.4%、「自由にできる時間がない」20.8%と「家族関係」と「余暇」に関する悩みが上位。

こうみると、「ヤングケアラー」と「若者ケアラー」・「ケアラー」の悩みに関して「勉強」と「仕事」の違いはあれど、「余暇時間が取れない」、「人間関係」と共通点もある。

「18歳以上のケアラー全員の支援が困難なワケ」

とはいえ、「ヤングケアラーだけじゃなく、若者ケアラーや他のケアラー全世代の支援が行きわたるといい」と意見する人たちがいるが、不可能だろう。

「ヤングケアラー」や「ケアラー」のサポート窓口は、役所、児童相談所、地域包括センター、教育委員会、民間団体などが対応にあたるが、限界がある。

全国初の相談窓口を設置した神戸市は、社会福祉士など専門家3人を含む6人体制で久元市長は「人員が限られるが、この体制で様子を見ていきたい」とコメントしている。

また、国や自治体の支援予算でみれば、例えば、鳥取県は神戸市と同じく比較的早い段階からケアラー支援に力を入れているが、それでも2021年度一般会計当初予算に事業費230万円にすぎない。

今後、人員や予算は増える可能性が十分にあるが、ケアラー全員をサポートするのは難しい。

「年齢よりケアレベルに応じた重点的支援を」

そうなると、重点的な支援に絞らざるおえないが、介護疲れの自殺者と介護殺人を犯すのを防ぐのが最優先ではないだろうか。

介護自殺は、40代~60代のケアレベルが高い人たちのボリュームゾーンであり、10~30代は10人以下と多くない。だが、まだまだ可視化されていない可能性があり、実態調査が必要だ。

厚生労働省・みんなの介護「「介護・看病疲れ」による自殺者は、今年も250人超え…。今、介護者に必要な支援とは?」より抜粋

そして、介護殺人は、1998年~2015年まで716件発生している。日本福祉大学の湯原悦子教授による研究によれば、介護殺人発生率のうち37.45%にあたる275件が親子などの二人世帯で発生し、26.85%の被害者が寝たきりの状態という調査結果が明らかになっている。つまり、「ワンオペや多重介護で要介護者の介護度が高い」介護者が最も犯罪を犯しやすい。これらをみると、中高年層の支援も不可欠である。

「多重介護の壮絶さ」

筆者は、30歳過ぎの時に母親が脳梗塞で倒れ、同時期に祖母が認知症を発症し、祖母の在宅介護をほぼ1人で6年間経験した多重介護者の一人である。祖母が要介護2の時に、母親が大腸がんを発症。見舞い、必要品持参、主治医からの病状説明、書類手続きでしばしば病院を訪ねた。母親は、幸いにもステージ2の早期発見で内視鏡手術で患部を除去し2週間程で退院。その後、母親の家に様子を見に行ったり、リハビリをサポートした。

他方、祖母は要介護度が低く、週2回午前9時~午後4時までデイサービス、月2泊のショートステイ、週1回30分のヘルパーで介護サービス上限いっぱい。その割に祖母は、目が離せなかった。一人で喫茶店へ行くと自宅の場所を忘れ電話がかかってきたり、料理中にガスの火をつけ忘れたり、夜中から早朝にトイレへ行こうとして転倒したり・・・。

そのため、1週間の大半を祖母と在宅で過ごす必要があった。母親の病院に通い退院後も看病をしながら、祖母のケアをする。多重介護の厳しさを痛感した。

参照 https://news.yahoo.co.jp/articles/daea4683a76438bdb58aba9ceec73b85209ec8d5

こうみると、ケアラー支援は、「ヤングケアラー」から「ケアラー」まで年齢は幅広く、対象者はシングル・多重介護者・重度要介護者の協力者介護のみを対象とするのが望ましい。

そうすることで、若者介護・介護離職・介護殺人・介護自殺の予防効果も期待できるだろう。

近著『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』(株式会社法研)の一冊にケアラー支援の必要性を書いているので、お読みいただければ幸いである。

ヤングケアラー偏重の支援に疑問、若者孫ケアラー作家と一緒に話しませんか?
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参照 1、厚生労働省「ヤングケアラーの実態に関する調査研究のポイント

https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000767890.pdf

2、「介護・看護疲れによる自殺者は、今年も250人超え・・・。今、介護者に必要な支援とは

https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no240/

3、坂井えつ子の市議会ホーコク  

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