ヤングケアラーなど若年介護者が求める支援案を孫介護8年の筆者が語る

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厚生労働省が12日、親・祖父母・きょうだいの家事や介護に追われる「ヤングケアラー」全国の教育現場で初の実態調査を行った。公立中学2年の5.7%(約17人に1人)、公立の高校2年の4.1%(約24人に1人)で1学級に1~2人。毎日新聞によれば、仮に全国の中2と高2の生徒数で単純計算すれば、計約10万人の「ヤングケアラー」が存在する試算になり、衝撃的な数字でありただちに「保護」、「予防」、「支援」が必要だ。

そして、今後は、ヤングケアラーの支援と同様に「若者ケアラー」、「就職氷河期ケアラー」と若者介護者への実態や支援が急務になる。

そこで、数年前からヤングケアラーなど若者介護問題を追い、自らも長年体験中で単著『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』(株式会社法研)を出版した筆者が支援策を提案する。30歳過ぎから8年間正社員に就職できなかった孫介護体験から「経済的困窮者へターゲットを絞った金銭的支援」、「介護サービス以外の公的、民間施設の拡充」、「入院レスパイトケアの普及」の3つを提案。参考になれば幸いで、今後、国へ積極的に働きかけていく。

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「30歳から8年間介護で正社員に就職できず」

日本ケアラー連盟は、18歳~30代位までを「若者ケアラー」と定義づける。また、1990年代半ばから2000年代前半のバブル崩壊後に社会に出て、正規職員に恵まれずアルバイト・パート・派遣社員など非正規社員で20代~40代半ばまでの人たちを筆者は「就職氷河期ケアラー」と名づけている。

2017年の総務省がおこなった「平成29年就業構造基本調査」では、15歳~29歳の介護者が21万100人。

また、季刊家計経済の調査では、30代、40代の介護者は およそ110万人、そのうち3分の1の 約345,000人が無業者だ。

筆者は、大学卒業後、放送・通信業を請け負うコールセンターで営業や顧客対応を経験。

ところが、30歳過ぎの時、母親が脳梗塞で倒れたのと同時期に祖母が認知症を発症し、突然介護が必要になり介護離職。筆者には、弟と妹がいたが、既婚で子供がいたり、祖母への愛情への温度差で協力が得られず一人で介護した。

参照 https://news.yahoo.co.jp/articles/d34c4e6a9eecc0caf1cdbb16fd55f59927294b31

祖母は、要介護認定で要介護1の判定が出たが、認知症のため目が離せない毎日だった。

例えば、料理で火を使いながら消したり、自宅の場所を度々忘れたり、同じ事を何度も話したりと要介護が低いから介護が楽というわけではけっしてない。

加えて、1ヶ月の介護サービスが月1回のショートステイ、週2回のデイサービス、週2回30分のヘルパー、福祉用具のレンタルで目一杯・・・。

祖母が自宅で転倒し打撲になり、3週間の入院が必要になり要介護2から4に上がり、週2回のお泊まりデイサービスかショートステイ、週3回のデイサービス利用など介護サービスの利用時間は増えた。

しかし、簡単に正社員で働けるかといえばそうではない。週5回は在宅介護が必要だった。

加えて、要介護が重くなり、排便・排泄の失敗、着衣着脱不可、異食、徘徊、歩行不安定など私の負担が重くなり、正社員で仕事ができる状況になかった。

認知症祖母、真夜中、布団を人間と言い続け対応に苦慮するシーン
認知症祖母、真夜中、布団を人間と言い続け対応に苦慮するシーン

そして、祖母が2019年1月に認知症の進行で精神科病院に入院し、急性腎盂炎、尿管結石、普通の風邪と急病の度に私が呼び出された。他病院への付き添い、主治医からの説明、入退院手続き、オムツ・パッド等必要品の準備、月1回のカンファレンスなど諸々ある。

2020年11月、祖母の体調不良が増え、療養病院へ転院となった直後に壊死性軟部組織感染症、母親まで検査しても原因不明の身体表現性障害を発症し入退院を繰り返した。祖母と母親の病院の付き添いや看病をする日々が続く中、介護専門誌日総研認知症ケア・みんなの介護・週刊女性連載など執筆、単著の出版、テレビ局の請負業などをこなした。

しかし、正社員への就職となると、ブランク期間の長さ・年齢・能力に加え、今の環境では採用されるのが難しいのはお分かりいただけるだろう。

現に、介護離職後の正社員化は、2017年の総務省調査によれば、介護離職後、再就職できたのは30.2%に過ぎない。再就職できた人の雇用形態も、非正規のパート・アルバイトが53.6%に上り、正規の職員・従業員になれた人はわずか20.6%に過ぎない。介護離職で仕事にブランクが生じると、正社員で再雇用されるのは難しいのが実情だ。

「諸外国のように現金給付の支援を」

このように、1ヶ月の介護サービスの利用が限られ、在宅介護の負担が大きく、介護休暇は年5日、介護休業は93日と支援に乏しい現状では年約10万人も介護離職者が出るのも無理がない。

現行制度であれば、まるで「1年で在宅介護をやめて施設へ入れろ」と言わんばかり。「本人と一日でも一緒に家で過ごしたい」要介護者と介護者の想いは、尊重されるべきだ。

では、具体的にどうすればいいか。

まず、介護サービスの拡充であるが、ほとんどの高齢者施設は、慢性的な人手不足に陥っている上に新型コロナウイルス感染予防に追われ、現実的に困難だろう。

だとすれば、主介護者への「現金給付」制度が望ましいのではないだろうか。

ドイツ、オーストラリア、イギリスでは、政策として在宅介護者に毎月現金が支給されるなど「介護は労働である」という概念が根づいている。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「ヤングケアラーの実態に関する調査研究 報告書」によると、在宅介護者に対する1か月当たりの現金支給額は、ドイツが月約4万~11万円(要介護度により異なる)、オーストラリアは月約10万円、イギリス月約3万6000円。

主介護者への現金給付となると、「遠距離か近距離か」、「要介護状態」、「シングル介護か協力者介護か」、「介護による借金の有無」など現状把握が難しい側面がある。

しかし、在宅介護による経済的困窮者の現状は、まったなしの状況であり早急に支給すべきである。

ただし、財源的に介護者全員へ支給は困難だろうから、①~③の経済的に困窮や一時的に緊急性を要する介護者に焦点を絞った支給をするのが望ましい。

  1. シングル介護もしくは多重介護で世帯年収が300万円以内
  2. 介護のため、年間の借金が100万を超える見込みがある
  3. 認知症で要介護者が年金を1日で使い果たしたなど介護者の責に帰さない借金があり介護サービス費用が支払困難

実際、筆者も祖母に浪費癖があり、250万円の税金を滞納し、借金を背負っての在宅介護スタートとなり、施設へ預ける余裕はなかった。それでも、祖母は、母子家庭で母親の体が強くなく、一人で孫3人を育ててくれた。中でも、筆者は、祖母に一番可愛がられた。服やおもちゃを買うのもいつも一番、旅行へよく連れて行ってもらったり、大学へ進学させてもらったのも筆者のみといった具合だ。だから、筆者は、祖母に特別な感情があるわけだ。

祖母と私

「介護保険外サービスとレスパイト入院の拡充」

専門家や識者の中に「相談場所の確保」を支援の一つにあげるが、それだけでは不十分だ。なぜなら、「相談したところで、介護する時間が減るわけでも、金銭的に楽になるわけでもない」からだ。

介護者は、介護レベルが高い人ほど前述した1ヶ月の上限介護サービスが足りないために、仕事、育児、プライベートの時間がほとんどない。

したがって、それらの解決には、「介護サービス以外の施設」を増やす必要があるだろう。

「介護保険外サービス」とは、介護保険以外の介護サービスであり、近年少しずつ増加傾向にある。

〇遠距離に暮らす介護者を家族がカメラやセンサーなどで見守るサービス

〇一人で外出が困難な人などを対象に民間や自治体が外出支援をサービス

〇きざみ食・ミキサー食など要介護者の状態にあった食事を自宅まで持ってきてくれる食事宅配サービス

〇夜間から早朝のみ格安で宿泊できるサービス

また、これも全国的に数は少ないが、「レスパイト入院」という方法もある。

病気・ケガ・冠婚葬祭で介護者が介護できない時に一時的に要介護者の入院を受け入れる仕組み。

その間、介護者は、ケアを「一時休止」「休息」、「休憩」ができ、介護疲れを極力予防する目的で全国各地の病院で導入されている。ただし、条件が「1ヶ月以内、ガン患者・胃ろう、気管切開・在宅酸素など医療的処置が多い要介護者」など一定の制限がある。

最近、ようやく「ヤングケアラー」が話題になり支援も少しずつ整いつつあるが、「若者ケアラー」や「就職氷河期ケアラー」への政府や厚生労働省の具体的なアクションが乏しい。

介護サービス外の低額公的・民間施設の増加や主介護者かつ経済的困窮者に焦点を当てた政策をただちに実行してほしい。

一日でも早く若年介護者が「同世代と同じように堂々と前を向いて生きる」環境になるよう筆者もサポートしていく。

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